![]() | 25階。とうとう最上階に来ちまッたぞ。そしてまた音声の出るボタンが |
![]() | 諸王の聖杯があればみんなが助かる? |
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箱舟から人が去ってハイ・ラガードが建国された時にはもう諸王の聖杯は完成してたんだよな? 材料の処方とかが伝わってるぐらいだし |
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ええ。そして、ジャガーノートに該当するモノの存在も伝わっていたようね。 …つまり、人間をバケモノに変える力も完成していた |
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いくら永遠の命を得られるからといッても、人間をバケモノにするのはおかしい。 だから、オーバーロード以外の奴らは研究をやめて地上に去ッた。そういう話だろ? |
![]() | …ねえ、オーバーロードって一体何が目的なの? |
![]() | 永遠の命を持った新生物による新たな大地、その王になるつもりなんだと思うわ |
![]() | じゃあ、なぜ永遠の命を持った新生物が必要なの? |
![]() | そりゃアレだ、祖国がみんな消えるほどの環境の変化から生き延びるために… ン、待てよ? それッて大昔のことだッたよな? |
![]() | …そうか! 今オーバーロードがやってる事はもう不要なんだ |
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聖杯のために機械の体になったから、聖杯が不要になることは自身の存在を否定するに等しい… ゆえに、去った人達を理解することができないのね |
![]() | ぐるる… |
![]() | ここが… |
![]() | 最後の扉か… |
![]() | とうとう来てしまったわね… |
![]() | ぐきゅるるる…… |
![]() | …? あれ? くーちゃんおなかすいたの? |
![]() | くぅん |
![]() | しょうがないな。進むのは腹ごしらえしてからにしよう |
![]() | よし、いくか…… |
![]() | みんな、準備はいいな? |
![]() | うん…! |
![]() | じゃあ、開けるわよ |
![]() | その声は… |
![]() | お前がオーバーロードか |
![]() | なンか勝手に過去を語り始めたぞ |
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古代文明の生き証人であるオーバーロードの証言… 私達の推測があってるかどうか答え合わせをしてみましょうか |
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かつて世界は滅びた… 真偽はともかく、そんな話はハイラガード公国民なら皆知っているわ |
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どんな滅びだッたかは詳しくはしらンがな。 コイツが言うには、予測できるものだッたらしいが |
![]() | そしてこの箱舟で空へ飛び、新たなユートピアを築こうとした |
![]() | 以前聞いた音声記録との前後関係を整理すると、国々が消滅した後でさらに滅びが来るという、地上の二つの破滅的歴史を乗り越えてきたということね |
![]() | で、空に逃れた後も問題があって生存の危機…か |
![]() | 環境の変化はこの船の中での生活のことだったのか。確かに草も木もない世界だけど…… |
![]() | だから諸王の聖杯をつくる必要がでてきた、ということかな? |
![]() | そして、研究のさなかに仲たがいした仲間は滅んだ大地へ降りて行った。偽りの大地へ… |
![]() | 偽りの大地!? オレ達の暮らしてる世界はお前にとって偽りだというのか |
![]() | そういう発想、どこから来たのやら… |
![]() | じぶんが知ってる世界じゃないから? |
![]() | 自分の納得のいく世界じゃないからッて線もあるかもな |
![]() | それでも、オーバーロードは自らを信じついてきた者のために研究を続けたのね |
![]() | …でも、この船で暮らしてた人はいなかったよ? |
![]() | みんな出ていったか箱舟の中で滅んだか…どっちかなんだろう |
![]() | 音声記録でも、たった一人で研究していると言ってたハズよね |
![]() | もしかして、去った人達のために…一時期でも自分を信じてくれた人達のために、ひとりで? |
![]() | なるほど、ライフワークというやつか |
![]() | そしてオーバーロードは研究のために、老いを突破するために機械の体に…精神を宿した |
![]() | 彼は人間なのか? |
![]() | あんな大きな体で、人間の顔も肌もない体で、人間としての心を保つことができるかどうかは怪しいわ |
![]() | たったひとりで研究を続けるのが辛かったのかな。だから、辛さを感じない体を作ったのかも |
![]() | つまりコイツは、孤独に老いていく研究者の代わりに研究を行うための機械…とも言えるかもしれねェのか |
![]() | じゃあ、人間じゃないのか…… |
![]() | (人間ではなくペットの可能性は?)ウーン |
![]() | しかしそれでも、諸王の聖杯はまだ完全に完成していないようだな… |
![]() |
それどころか、人間を実験台に…バケモノに変えることを承知して、実験を続けているというのか! …野郎、言い訳できねェ悪行だぞそれは |
![]() | まったくだよ! |
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あるいは、地上へ降りていったハイ・ラガードの祖先がもう少し力を貸していればこのような悲劇は… いや、もはや済んだことね |
![]() | 何度も皆のためにって言ってるけど、それってどこにいるの!?ねえ!! |
![]() | 貴方は偽りの大地だっていうけど、私達はそこで滅びの運命を超えてしっかり生きてるのよ。流石に死んだりとかはするけど |
![]() | …駄目だ、救うべき相手に対する認知能力がおかしい |
![]() | とにかく、こちらには確かに救える人間がいるンでね。聖杯をもらおうか |
![]() | あれ?自ら相手するって言ってた割にはあっけない? |
![]() | このとおり、解析グラスでみたらHP6000しかなかったからな。ジャガーノートの時と比べると明らかに不自然だ |
![]() | 初見でグズグズやりながらでも倒せるってのはちょっと不自然よね |
![]() | コイツ、本気を隠してやがるな… |
![]() | なに…交渉だと? |
![]() | オレ達をアレに変えようっていうのか? どうやったらそういう発想になるんだよ!! |
![]() | そして聖杯を諦めろって、その条件も呑めないわね |
![]() | 真の力? 上等だよ! エバク国の戦士として、全力で打ち砕いてやる! |
![]() | (なんかあいつの中からヘンなニオイがするぅ…)グルルル |
![]() |
…神?自称神ィ!? アッハハハハハ!! おいマジかよ、とうとう本性晒しやがった! コイツ、これまでの迷宮で一番愉快な奴じゃないか!! |
![]() | あらアイン、珍しく私も同感よ。そして…… |
![]() | コイツが一番、不愉快な奴だッッ!!!! |
![]() | で、どうするのコレ? |
![]() | まずは偵察。情報収集に専念だ。今回は勝つ気はない |
![]() | いや、それは分かるンだけどよ… |
![]() | なんかテンションがズッコケだよねー… |
![]() | (いつものぼくらだ)アンシン |
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何もしない、前一列攻撃、通常攻撃のループという、 なめた行動パターンを続けていると思ったら、なにか出してきたぞ… |
![]() | こうなるまでかなり時間かけちゃったし、ダメージで行動を変えるパターンなのは間違いなさそうだね |
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名前はサテライトキラー、出す場所は後列か… これ以上は解析グラスが足りないから情報を集められねェな。今回はアレのユニーク行動でやられるかね? |
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それだけじゃないぞ。 額が光って新しいパーツになった。バジリスクと同じパターンだ。状態異常でもかけてくるのか? |
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その後に出してきた美しき陽光の追加効果を結界で防げたから何かはあるでしょうね。 それの威力だけでも重いのにさらにサテライトキラーの追撃も全体に来て壊滅…っと |
![]() | 帰ッて図鑑情報とにらめッこしながら作戦会議だな |
![]() | 行動パターンは固定されてると思うけど、ダメージ量で切り替わったり毎回々々前哨戦やらなきゃいけないから、検証にホネが折れそうだぞ |
![]() | これかなりキツいかも… |
![]() | というわけで情報集めて対策会議して休養からスキル最適化してレベルもさんざん上げたんだからいい加減に沈め!! |
![]() | って、言ってるんだよォこれでトドメェーー!!! |
![]() | うっわアンタ達いきおい任せで雑過ぎ!! |
![]() | 主な勝因が緻密な行動パターン解析からの詰めじゃなくて、状態異常で動けない所をボコり続けることに成功したッて所がマジで雑だよな |
![]() | とはいえ、大技やサテライトキラーの対処を適切にできたのは調査の賜物だよ。今回危うかったのはぼくが倒れて復帰するターンぐらい |
![]() | まあそうだけど…っていま喋ったの誰だ!? |
![]() | (いっけね、間違って普通にしゃべっちゃった)テヘペロ |
![]() | あ、オーバーロードが。光になって… |
![]() | …爆ぜて地上に降り注いでいく |
![]() | 流れ星みたいで綺麗ね… |
![]() |
ああ…これで一丁アガリだ。 やッたンだよ、俺達は |
![]() | …そして、彼の目指した研究…新世界の時代も永遠に失われたわけね |
![]() | もっと、互いに話し合うことが…歩み寄って力を貸しあえることができれば… |
![]() | …出来なかったから、こうなってしまった |
![]() | 手前の狭量さで研究をツブしちまッたようなもンさ。自業自得、気に病ンでも仕方ねェ |
![]() | オーバーロードの……大バカ野郎…! |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() | 『………………』 |
![]() | しかしアレだ、俺達が当事者とはいえ、なンか伝説作ッちまッた感じするなァ |
![]() | 帰ってこれまでの調査・見聞をまとめなきゃ。歴史に残しちゃうわよ! |
![]() | 伝説とか歴史とか…改めて言われると緊張しちゃうな、もう全部終わった後なのに… はっそうだ、そういえば諸王の聖杯どこだ? アレを持ち帰らないと! |
![]() |
ああーーっ!! 大変だ!! 見てよぉ! 諸王の聖杯がぁ!! 諸王の聖杯がくーちゃんのトイレにされちゃってるぅぅーーー!!! |
![]() | (やりました)スッキリ |
![]() |
…ッてなワケで、俺は貴族になるからよ。 社交界デビューのために教養積ンだりとか色々で冒険者は当分休業だ |
![]() | そっか… そういえば、アリスちゃんは? |
![]() | 俺が養子として引き取る。彼女の姉妹達も、できれば見つけ出して保護したいが… |
![]() | あまりやり過ぎると、そういう女性が趣味だって変な噂が立つわよ? |
![]() | …アイン、迎えに来た。そろそろ行きましょう |
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おッともうそンな時間か! そういうワケなンで諸君、また会おう!ッてか!? ハハハ! |
![]() | アリスのやつがやっぱり下着をつけてないのはオレのせいじゃないからな |
![]() | ん〜〜…… |
![]() | パルム、何やってんだ? 珍しく手紙なんか読んで |
![]() | うん。実家から手紙が届いてさ。でもあんまり読めないの |
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ちょっと貸してみて?私が読んでみるから…って、かなり字汚いわね。えーと… 『一国の英雄程度でつけあがるな。エバク国の英雄になりたくば伝説的に強い魔物を討ちまくるのだ! エバク国ラーサ公の戦士長 灰色の当主ラーサ』 |
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なるほどね、お父さんらしいや。 …伝説的に強い魔物かぁ。そういやギンヌンガ遺跡の奥地はまだ行ってないけど、何かスゴいのいるかな? |
![]() | 世界樹の迷宮そのものもまだ謎が多いし、探せば意外といるかもしれないぞ |
![]() | さて、旅支度の忘れ物は…ないわよね |
![]() | 本当に、行くのか? |
![]() | 向こうで論文書いて学会で発表するだけよ。終わったらまた戻ってくるから |
![]() | アインと同じようにギルドには籍を残しておくから、いつか絶対戻ってこいよ |
![]() | うん。いつかまた、みんなで冒険しましょう |
![]() | ……っ… |
![]() | んもう、目に涙溜めちゃって。ほら、このくらいで泣かないの。あなたには空牙もいるんだから |
![]() | くーん |
![]() | マグマックスお姉ちゃん、行っちゃった? |
![]() | ああ。これで一気に寂しくなったな |
![]() | そうだね… でも、ここでやれることはまだまだいっぱいあると思うよ! |
![]() | ああ。冒険はまだこれからだ |
![]() | だよね! これからもーっとガンばっちゃうもんね! |
![]() | (これはねるひまもなさそうだなぁ)フアー |
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よーし、それじゃこれからの迷宮紅蓮隊の方針について考えようか。 まずは…… |