| な、なんなのこれ…… |
| コイツが天空の城だろ？ 多分…… |
| 一体ここは……どこなんだ？ |
| 雲の上、よね。少なくとも…… |
| （下が雲なので高さのかんかくがマヒする。まるでこわい夢だ）ﾌﾞﾙﾌﾞ |
| しかし、一体どうしてこンな物が実現してンだよ… |
| 第４階層にあった浮遊する足場が、巨大になったものだと…思うしかないわね |
| ッ…声！？ 野郎、一体どこから喋ッてやがる！？ |
| この場所を築いたと主張するオーバーロード……いったい何者なのかしら？ 普通の存在じゃなさそうね |
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ここがハイ・ラガードの空飛ぶ城なら、諸王の聖杯があるハズだ。 オーバーロードよ、諸王の聖杯はここにはないのか？ |
| オーバーロードさんの力の源だからあげられないって…困ったなあ |
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そして、聖杯で人を死の運命から救うつッたか…？ 確か、星の声とやらが空の民に言いつけて死んだ人間をここに連れて来てるンだッたよな |
| しかしその成果はスキュレーのような魔物だったわ… |
| つまり、ヤツは諸王の聖杯を人間バケモノ化装置として使っているということか |
| オイオイちょッと待てよ、それじゃあ諸王の聖杯を使うと公王がモンスターにならねェか！？ |
| うゎあ、それは…確かにその可能性もあるけど、以前集めた材料が適切なら病を治す効果になるんじゃないかしら |
| とにかく、オーバーロードから諸王の聖杯を奪えば第二第三のエスバットの悲劇もなくなり公王の病も治る。全てが丸く収まる。そういうことだろ |
| 入り口を塞ぐわけでもないから勝手に探索をはじめてみたけど、動く鎧が追いかけてきたわね |
| ここのＦＯＥか。特におかしな挙動はないようだからその分楽だな |
| 光の剣… 重さがない武器を使うということは、重心とか全然違うだろうし、戦い方もだいぶ変わりそうだね |
| エクレアさーン、コレ値段がひと桁間違ってませんかねェ |
| 性能も大概おかしいからこの値段は妥当とも思えなくもないが… しかし、今のアインは剣メインだからしばらくは放置でいいさ |
| それにしても、アタシ達が空飛ぶ城を見つけてから、街の人達の態度が変わったね |
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空飛ぶ城を見つけてきた冒険者だからな。もう俺達ァ街の英雄、有名人だ。 ッたく、これ以上ないくらい目立つ存在になッちまッたなァ… |
| 何か問題あるのか？ |
| いや、ちょッと個人的にね… |
| ねえ、コレ… |
| 冒険者の遺体… 空の民に持ってこられて、何らかの理由でそのままの状態なのかしら？ |
| それなら、座ってたり剣が突きたてられたりしてるのは、死体を置くための作法なのかね？ |
| もしかしてアレじゃないかな？ 前に受けたクエストで、酒場のおじさんの親友冒険者が、世界樹の迷宮が見つかる前に中に入って帰らないっていう |
| 手元になにかメモを書いた紙があるぞ。なになに……空飛ぶ城はあった、掛け金払え…？ |
| 酒場の主人への書置きのようね。おそらく本人で間違いないわ |
| 最初に空飛ぶ城を見つけた真の英雄はここにいた、ということだね… |
| ああ。これでクエストは完遂。あのオヤジの誇らしいヨタ話が増えたッてワケだ |
| 次の階にはいるとまたオーバーロードの声が聞こえてきたぞ |
| 自然の摂理である死、それに抗い乗り越えられるとしたら？…ときた |
| でも、その研究のための良質の贄になってもらうって… |
| 入っちゃダメって言ってたのに勝手に入ったこと、根に持ってるのかな… |
| それどころじゃない。オレ達を試料か何かと思っているんだろう |
| なンか押してみたくなるブツを押したら、なンというか…変なカスれ方をした声が聞こえてきたぞ |
| どうやら、音声を記録する装置が作動したようね。私達の、今の時代の技術力で作れる物はまだ実験段階と聞いてるけど |
| 祖国が消えた…！？ 国家のわくぐみの意味がない！？ |
| オレ達の国々じゃなくて、ハイ・ラガードの興国記に記されてた世界滅亡のことを言ってるんだと思う |
| 指導者が箱舟を建造し新しいユートピアを…というのはこの城のことでしょうね |
| 確かに城というよりは船に近い形だッたよなァ |
| 話を整理すると、この声は過去のオーバーロードだろうか…？ |
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…どうやら、私達は古代文明の真実のひとつに近づきつつあるようだわ。 ここに至っては、ハイ・ラガードの興国記について復習しておく必要があるわね。 というわけでジョー、もう一度暗唱しなさい |
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え！？ またかよ！？ …えーと… 七つの海に 文明が呑まれ 五つの島に 樹海が広がり 一つの城に 選ばれし民は逃がれた 七つの海は すべてを沈め 五つの島は すべてが滅し 一つの城は 全ての孤児と化した 天空を漂う城の民は 長き放浪の末 再び母なる大地に降り立つ |
| よく覚えてるよなあ |
| マグ姉がここに来る時は常識だって言うからさ… |
| また音声記録の再生が始まったぞ |
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環境の変化……『海に文明が呑まれ、大陸が樹海に覆われ、一つの城が、全ての孤児と化した』の状態のことかしらね？ そこから彼らは生き延びるための方法を模索して…うーん、音声の乱れがきついわね |
| 研究…遺伝子…組み換え？ |
| （…！） |
| 遺伝子改造ですって！？ なんてことなの… 原子核融合、自律式人工知能に並ぶ、古代文明３大禁忌技術のひとつ！ |
| 知っているのか雷…マグ姉！？ |
|
遺伝子というのはね、生物の種族的特性を…細かい所まで形作る要素なの。 人間が人間であってヤギや杉の木になったりしないのは、人間の遺伝子があるから。 また人間は、遺伝子が違い過ぎるヤギや杉とは子を成せない。成そうとしても、非常に不安定な存在で成長どころか生存も不可能 |
| えぅ…難しそうな話だなぁ |
| で、その子供を作れねェ組み合わせとかその辺を改造だか合成だかでなンとかすれば、空の民のような存在とかも作れるッて寸法か？ |
| そうね。…ああそうか、空の民はきっとそうやって生み出されたんだわ |
| （そのぎじゅつがあれば、ぼくとご主人さまとの間にも子供が…？）ﾜｸﾜｸ |
| しかし、なンでその技術が禁忌なンだ？ そりゃ確かに不自然な出来事を起こすのはヤバそうだが |
|
遺伝子改造が禁忌技術といわれた理由は、強すぎる生物… あまりにも強すぎて予想を超過して世界の環境を激変させる程の生物を作り出す可能性があるの |
| つまり、五つの島に広がった樹海も遺伝子改造の産物で古代文明を破滅させた事を意味する…？ |
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…説の一つに挙げることができると思うわ。 当時においても、禁忌技術の研究と運用は厳重な管理を要したそうよ |
| 機械の身体で…永遠に生きて新たな大地の王になるとかどうこう言ってるけど、言葉が断片的でよく分からないな |
| 永遠に生きる機械の体を手に入れたのに、それとは別に不死の研究してンのか…？ |
| 不死に細胞とテロメアが関係してて、テロメアを遺伝子改造するのが… ああっ、音声はここまでね |
| …話、終わった？ 途中から全然分からなくなっちゃったからくーちゃんとあそんでたけど |
| （もっとなでて……）ｺﾞﾛｺﾞﾛﾆｬﾝ |
| 話は途中で途切れたよ。さあ、先を急ごう |
| なンだあの鎧は。調度品か？ |
| ＦＯＥだろ。前の階みたいに動きだすかもしれないぞ |
| 動かないうちはあそこを通り抜けるってことはできなさそうだなあ |
| 今度なんだ、あの赤い光を出す球体は。今回はＦＯＥ２種類いるのか？ |
| な、なんか甲冑の方とぶつかって、両方とも消し飛んだよ！？ |
| これは動く爆弾でしょうね。すごく危ないわ…… |
| どうやら、近くの専用扉から出て来てるようだぜ。入ってみるか？ |
| 冗談きついわよ |
| ひゃあああっ！？ |
| どうしたパルム！？ |
| あの小動物が弱ってるのを見かけたから、くーちゃんに見つからないようにこっそり介抱しようとしたら…急に元気になって！ |
| 道具袋を漁られて何か持ち去られたように見えたが… 何を盗られたか調べてみよう |
| …ねぇ、アリアドネの糸っていつも持ってたよね？ ひとつも無いんだけど…… |
| なンてこッた。輪廻の角鈴は…こッちは無事だな。危ねェ危ねェ |
| ううう、あんなイタズラっこだったなんて… |
| （いわんこっちゃない）ﾔﾚﾔﾚ |
| さっきの動かない鎧が動きだしたわよ。真正面に出たら反応するのかしら？ |
| 次の一歩で爆弾と鉢合わせして爆発四散したけどね |
| やっぱりアＦＯＥ… |
| ノヅチってイモムシみたいな形状してるけどさ、マグ姉はこういうのは大丈夫なのか？ |
| ムシじゃなければ大丈夫だ、問題無い |
| ふーん… あ、今モゾォって動いた |
| うえぇっ！？ |
| あははは、引っかかった？ ただのジョーク、ジョーク |
| んもう… ジョー、流石に私でもびっくりするものはびっくりするのよ？ |
| ゴメン、ゴメ… うにー、ほっへたつねらないれよぉ |
| 和む… |