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ウロビトの里 の巻



深霧ノ幽谷の探索を始めたワイルドリザード一行……

   南から声
ブレイゾン ン…なんだこりゃ、歌か?
マーカム 誰だ、こんな真似をしているのは
ヴィマナ 私じゃないわよ
マーカム 分かってる。この先だな…
   女が座っている
   彼女が歌っている
ブレイゾン アイツが歌っているのか…
しかし、何故こんな所まで来てひとりで歌ってンだよ
マーカム 俺達より先に、しかも単独でここまで到達して平然と歌なんか歌っているとなれば、冒険者として見るには不自然だ。
恐らく、こちら側とは隔離された別の文明圏…おそらくこの大地に住まう人間だろう
ヴィマナ ここに住む人間ってことは、ウロビトと関係があるのかしら?
ちょっと声をかけてみましょう
マーカム そうだな、ここは俺に任せてくれ…
ちょいとお嬢さん、そこで何をしているのですか?
   背後から声をかける
   少女
   口ぱくぱく
   話しかけようとするが後ずさられる
マーカム 怖がらなくても大丈夫、君が何故こんな場所にいるのかが気になっただけで……
   何か飛び出す
   女性型の影だ
ブレイゾン 何だッ!? この子が呼んだのか!?
ヴィマナ さーァねえ。アレは少なくとも私達の味方じゃなさそうよ
   どうしてここにホロウがやだ来ないで
マーカム チッ、あの娘を助けるぞ!



   ホロウ2体

   やっつけた
ヴィマナ ザコよりちょっとばかしタフだったけど、初見で撃破できたわね
マーカム この辺の敵みたいに状態異常をかけてこなかったから楽ができたな。
こっちの回復手段はアイテムだから、封じで回復手段が断たれることもなかった



   ありがとう怪我はない?
ヴィマナ まあまあ、気にすることはないって。
可愛い女の子の前でええカッコしたがるのは男のサガだからね
マーカム おいおい、俺は襲われたのが年寄りでも関係なく助けるぞ
ヴィマナ どうだか。マーカムは女の子に対しては愛想いいもんね
ブレイゾン あー確かに前に兵士と商談した時とは態度が全然違うよな
マーカム ぐ、お前ら二人とも…
   それで、あなたたちも人間?
ブレイゾン ッたりめぇだろうが! 俺らが森の獣に見えるか?
   ここで待てば人間に会える。世界樹の言葉は本当だったんだ!
ヴィマナ世界樹の言葉』ですって……!?
ブレイゾン そ、そうだな。俺達がここでめぐり会えたのもその世界樹のお導きかもな、ははは…
マーカム そんなものを頼りにこんな危険な場所に来て、さらに実際に俺達に会っている。
とくれば、ただの電波じゃなさそうだな…
   私は里では巫女って呼ばれてる
ヴィマナ 世界樹の言葉を受け取る巫女ってことなのかしら。すごいわねぇ
私達はワイルドリザードっていう… ええと、どういう風に説明したらいいのかしら?
マーカム ちょっと待て。また何か来るぞ!
   錫杖女乱入、会話打ち切り
   巫女から離れろ!
   うーふぁん女史
ブレイゾン アンタぁ確かウロビトの…
   見逃したらここまで踏み入ったか
   巫女の前に立つとは許せん御用だ!
ヴィマナ 残念ながら私達は、その敬意を持って接する人間ってのには該当してないのよね
マーカム もしここで荒事を始めるようなら、ウロビトとも容赦なく戦うことになるな
ブレイゾン お…おい、仮にも恩人相手にシノギ削るつもりか!
マーカム いくら要人とはいえガキの監督不届きを棚に上げて喧嘩始めるアホと正面から付き合うのは御免だ。
ただし、手を出させるのは向こうが先だ。無用な争いは避けるのが賢い
   待ってウーファンその人私の恩人よ
   見て見て私と同じ人間よすごいよ!
   私この人達とお話したいよぉ!
ヴィマナ どうなるかは、巫女ちゃんの仲裁次第かしら
   仕方ない、話の続きは里で
ブレイゾン 良かった。恩人と戦うのは気が重かったからな
ヴィマナ 里があるなら、そこでゆっくり話をした方がいいわね。
こんな所で話をしてたら、逢引と間違われちゃうかもしれないもの
   この先のウロビトの里で待つ
   礼もする。巫女の願いは叶えられるべき
ブレイゾン 巫女の願いは叶えられねばならぬ…って、ウロビトは巫女に従っているって事なのか?
マーカム 巫女の発言力がどれだけ強いかによるな
   ウーファン何怒ってるのよ
   私里で待ってるからね!



ヴィマナ …結局、巫女ちゃん個人には気に入られたけどウロビト全体との関係はまだ微妙な感じよね
ブレイゾン ああ。しかし、なんで巫女は人間に会っただけであんな大騒ぎしなきゃなんねェんだろうな
ヴィマナ あっち側では人間は珍しい存在なんじゃないの?
こっちがウロビトに初めて出会った時のように、向こうも驚いているのよ
ブレイゾン とにかく、里まで会いに行って話をしなきゃな
マーカム ああ、そうだな………
ヴィマナ どうしたのよ、何か腑に落ちない所でもあるの?
マーカム …世界樹の言葉の主は何故俺達と巫女を接触させたのか気になってな
ブレイゾン 確かに、ウロビトは人間との関わりは持ちたくないと言ってはいたが…
マーカム それだけじゃない。明らかに行く手を遮る形に作られている大地の構造から考えても、
過去に世界樹に関わった人間が世界樹の近くから人間を排するように仕組んでいるとしか考えられないんだ
ヴィマナ 私達タルシスの封印みたいなのを解いてこの大地に来ちゃったワケだし、
それに対して世界樹側が何らかのアクションは起こしてもおかしくないわよねぇ
ブレイゾン 長い間別々になってたから、向こうもこっちの事を知ろうといているのかも知れねぇな
ヴィマナ あるいは、世界樹に近づく者を葬るための罠かもね。
可愛い女の子を囮にして、後ろからグサーッってやっちゃったりとか
マーカム いや、問題はそこじゃないんだ。世界樹の言葉とウロビトの方針が噛み合ってない事が問題なんだ
ヴィマナ 絶縁して復縁もしないのが、ウロビト側と人間との関係だったハズよね。
世界樹の言葉の主が、ソレを破るように仕組むってことは…
ブレイゾン 何か別の考えがあるって事か?
そう考えなくても、世界樹を去った人間を再び迎え入れるように使いを出したンならそりゃそれでおかしくねえだろ
マーカム それならば、ウロビトに巫女経由で人間への対応を変えるよう伝えたら充分のハズだ。
だのに、なぜわざわざ里の外で巫女と逢引じみた形で接触させようとしたんだ?
ブレイゾン それは……分からねェ
マーカム 世界樹の言葉の主の行動とその意図には、何か裏があるやも知れん。
向こうの手のひらで踊らされないよう、後々気をつけねばならんな



ワイルドリザード一行は、ウロビトの里らしき場所へたどり着いた。

   隠された里
マーカム 森の中にこんな里があったとはな。
しかし、この擬装は一体何のために…
   人間!?何用だ!
ヴィマナ あら、門番ご苦労様。私達は巫女に呼ばれて来たんだけど…
ブレイゾン お、おいちょっと待てよ、何で俺達に弓射る準備するんだよ。話が違うぞ!
   待って乱暴しないで
   ウーファンの話聞いてないの?客よ
   来てくれて嬉しい
   弓下ろすが腑に落ちない感じ
マーカム そういうことだ。通してもらうぞ
   手を引き奥へ誘う
マーカム それにしても、人間が見当たらないな。
この里にはウロビトしかいないのか?
ヴィマナ そのウロビト達の雰囲気にしても、あまり良い感じじゃないわよねぇ
ブレイゾン ああ。巫女の方も…なんというか、ちょっと雰囲気悪いのを気にしてるみてぇだ
マーカム ウロビトは人間との接触は望まないって言ってたからな。
この里に俺達を招くという巫女の願いは、これと矛盾していることになる
ヴィマナ それ故に、ウロビト達の反応は冷ややか…って感じね。
巫女ちゃんの方も、それを薄々感づいてるのかしらねぇ
   みんなビックリしてるだけ。座って!
   食品を振舞う
ブレイゾン ああ、そんじゃ遠慮なく頂くぜ
ヴィマナ じゃあ毒見は任せたわよ
マーカム こらこら
ヴィマナ ふふ、冗談よ。巫女ちゃんも一緒に食べましょう
   巫女の質問攻め
ブレイゾン 俺達はひと山当てるために冒険の途中なンだ。一から話せば長くなるなァ
ヴィマナ 食べ物は…保存食があったわね。ご馳走の礼にいくらかあげるわ
ブレイゾン 味は粗末なモンだけどよ、家族ン所へ土産に持っていくと話の種ぐらいにゃなるぜ
マーカム そういえばこの里にはウロビトしか見当たらないが…
人間は別の集落にいるのか?
   人間は私のみ
   人間過去にいなくなったのに。ウーファンも知らない事あるのね
ブレイゾン わ…悪ィ、ちょっとデリケートな事聞いちまったぜ
ヴィマナ なるほど、人間を珍しがるワケだわ。
自分が最後のひとりだったハズの人間と出会えたから、お友達になりたいのでしょうね
   あなたの里には人間はどれくらいいるの?
マーカム …! マズい質問が来たな。
いいかみんな、この質問には答えるなよ
ブレイゾン なにッ
どういう理由でそうするンだ?
マーカム 外の人間の世界へ対して、巫女がこれ以上興味を持たないようにするためだ。
人間の社会がここでは想像のつかない程の規模だと知ったらどうすると思う?
ヴィマナ 行きたい!見たい!触れたい! …とダダをこね始めるわね、きっと。
そうでなくとも、外の世界をさらに知るために更なる行動を起こすのは明白だわ
マーカム そうなれば、ウロビト達は間違いなく巫女に反発するだろう。
最悪の場合だと、外部との関係を隔絶するために巫女を幽閉して里の門を固く閉ざすことも考えられる
ヴィマナ そんな事されると先に進めなくなるわよ。
ここまでの迷宮は一通り調べてあるけど、どうも奥に進むためにはこの里を通過する以外に無さそうだからねぇ
マーカム 他の奴らはともかく、俺達は巫女を助けたから特別にお目こぼしをしてもらっている。
…つまり、この先に進める可能性があるのは現状では俺達だけだ。
このチャンスを無駄にするわけにはいかないだろう?
ブレイゾン …そういう事か。巫女には悪ぃが、急ぎすぎるのも良くねぇからな
マーカム 少なくとも、この迷宮から世界樹へ近づくために必要な何かを手に入れるまでは、
この里を通れる状態を維持せねばならない
   Y/N
ヴィマナ んー、ごめんねぇ。
ちょっと事情があって、それについてはまだ言えないのよ
ブレイゾン まあ、ここに至るまでの道程は険しいものだったのは確かだったけどな
   私強くないし、外に出られないよね…
マーカム (この里から初めて出会った場所まで、最低1回はエンカウントする距離だと思うのだが…
無闇にツッコミを入れるのも無粋か)
   肩落とす巫女。おっとどこかから声が
   「ヨゴレた外界に出るなどとんでもない!」
マーカム 君は、巫女を箱入りにしている割には監督不届きだったウーファン女史ではないか
ヴィマナ 早速きっつく毒吐いてるわねぇ
ブレイゾン お前、本音では平和的に解決するつもり無ぇだろ…
   この地で起こった事を知らぬか
   教えてやるから去れ
ヴィマナ これ以上の語らいは我慢ならないって感じね。もしかして妬いてる?
マーカム まあ、こちらとしてもいずれ聞くつもりだったから、聞かせてもらおうか
   世界樹の麓に多くの人間住まう。樹の管理のため種族創造す
   ウロビトもそのひとつ
   世界樹の恩恵を受けていたある日異変起こる
   巨人現れ世界樹隠し、恵み失い多くの生命消える
   人間逃避するも諸種族は協力し巨人討つ
   世界樹元通り、ウロビト達もこの地で世界樹崇め暮す
マーカム 最初に会った時に話した『人間との絆を聖樹の守り以降断った』という話の詳細のようだな
ヴィマナ 要するに、危機から逃げだした人間は村八分にして、残ったひと握りの人間と暮らしているって事なのね
   巫女は人間だが逃げたチキンとは違う
   神託…世界樹の言葉を聞ける、唯一にして真の人間だ
   今も巫女は神託を授かりウロビトを導く。貴様らとは異なる
マーカム 巨人との戦いから逃げた人間と逃げなかった人間がいて、戦った方は唯一にして真の人間か
ヴィマナ これって、もしかして……
マーカム やはり、お前も思いついていたか
ヴィマナ
マーカム
いいぞ ベイべー!
逃げる奴は人間だ!
逃げない奴は唯一にして真の人間だ!
ホント巨人退治は地獄だぜ! フゥハハハーハァー
ブレイゾン 仲良くふざけるな!!
ヴィマナ それにしても気になるのが世界樹側の人間…巫女ちゃんの事よね
ブレイゾン 文字通りの唯一の存在になっちまってるんだよな。
絶滅寸前じゃねえか
ヴィマナ 巫女が死に絶えちゃったら、どうやって世界樹から神託を授かるのかしら。
こうなったら巫女ちゃんにはちょっと早いけど、一族の繁栄のためにひと肌……
イルベロ それは犯罪です!
マーカム むしろ、彼女の言葉は父母が元々存在していないかのような発言だったな。
巨人から逃げたかどうかがが分かれ目になって、こちら側の人間とは何かが違っているのだろうか?
   巫女を助けた事には感謝するが貴様らの祖先は許せん
   これは手切れ金代わりだ。失せろ

   術式書・凶鳥烈火

マーカム しかし、大誤算だったな。
ウロビトの外部から来た人間に対する印象がこうも悪かったとは……
ヴィマナ どうやら、ここまでのようね



   巫女「やだー!」
ヴィマナ あーあ、巫女ちゃんのワガママもここまでかぁ
ブレイゾン ちくしょう!
あの子が人間の友達を持っちゃいけねえのかよ!?
ヴィマナ 確かに人間の巫女ちゃんからすれば同胞かもしれないけど、
ウロビトを始めとした人工種族にとっては受け入れがたい存在だからねぇ。
瘴気の森で見捨てられなかっただけでも、かなり寛容な態度だと思うけど?
イルベロ …これから、どうしましょうか?
マーカム うーむ、どうしたものか…
ヴィマナ これ以上先へ進むには、強引な手しか無いんじゃないの?
マーカム そうだな。
今もらった術式書を使って里を焼いて更地にするか、巫女を誘拐してウロビトに従うよう脅迫するか……
ブレイゾン 悪魔の所業じゃねえか!
マーカム とはいえ、個人レベルでの行動で問題を解決することは不可能に近い。
仕方ないな…… こうなったら、国家レベルの外交でケリをつけてもらうしかないな
ヴィマナ 妥当なのはそれしかないか。後で統治院にかけあってみましょう
マーカム というわけで、今日はここまでだ。引き上げるぞ



パーティレベル
ブレイゾンLv19
イルベロ Lv18
マーカム Lv19
ヴィマナ Lv19

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